2007年2月26日月曜日

HACCPの基礎:その2

CCPについて


HACCPは食品事故予防策として導入・運用しますので、CCP(重要管理点又は必須管理点)にはじまりCCPでおわると言っても過言ではありません。従ってHACCPはこれで完成ということがなく、常に改善を続けていく進行形の姿勢が必要不可欠となります。

CCPで重要なことは、基本的にはPHとD値又は過熱致死温度等のコントロールです。その重要なことは、下記の点です。

  1. コントロール(制御)手段があるのか

  2. 許容水準を満たせば、より安全な食品が製造できるということが確認できるか

つまり、現在の科学技術でコントロールできない又は予見できないことは、決してCCPにしないことです。できないことにお金と時間を費やしても無駄な訳です。

但し、PL法訴訟では、予見可能性と回避可能性等が法的に問われますので、現行CCPについては現行の科学技術に照らし合わせて、見直しと改善及び是正しておくべきです。そうしなければ、訴訟段階で過失を問われることになるからです。

HACCPの基礎:その1

ph値およびD値について


食品衛生予防策としてのHACCPを知るうえで欠かせない基礎知識があります。例えば、代表的なものとして①PH(ペーハー)②D値などがあります。

PHとは「モル濃度で表した水素イオン濃度の逆数の常用対数」と定義づけされていますが、素人にはわかりにくい説明です。そこで「酸性とアルカリ性の度合いを表す数値で0~14まである」と言うと良く分かります。

ちなみにPH7が中性で、7より小さな数値が酸性そして8以上になるほどアルカリ性が強く、逆に6以下になるほど酸性が強いと判断します。他方、D値とは殺菌係数(分値)のことで、細菌をある温度で加熱した場合、生残菌数を10分の1にする。すなわち90%を死滅させるのに要する時間を示す分値です。例えば、サルモネラ菌は加熱温度60℃であれば、4.3分(D値)で90%のサルモネラ菌が死滅すると言う意味です。

現在最も注目されている食中毒について、その主な原因となっている微生物の「加熱致死温度」について、D値と異なる方法として、基質(原材料)ごとに何度Cで何分で、食中毒の汚染源となる特定細菌が死滅するのかについても学習しておく事が必要不可欠となります。

例えば、加熱時間10分であれば何度Cで大腸菌は死滅するのか、つまり「加熱致死温度」としては、下記の通りです。



  • クリーム
    大腸菌加熱致死温度:73℃

  • 全 乳
    大腸菌加熱致死温度:69℃

  • 脱脂乳
    大腸菌加熱致死温度:65℃

  • 乳 清
    大腸菌加熱致死温度:63℃

  • ブイヨン培地
    大腸菌加熱致死温度:61℃


ちなみに、O-157の場合は75℃で1分間加熱する事で死滅するとなっており、米国農務省では73℃となっています。このように、HACCP対応についてはその導入企業などに合った継続学習と継続実践そして継続改善が不可欠となります。それで、NPO法人アジアHACCP協会のような存在を活用することが非常に重要な意味を帯びてくるといえます。