2007年10月15日月曜日

中小企業にこそHACCP

日本には江戸時代以来、お上である監督官庁依存症により、余計な予防法務的リスク・マネジメントをあえて事前に計画・実行しないと言う経営文化風土があります。つまり、思わぬ経営事故が生じてから考え、演出的に対策を行えば良いと言うものでした。

しかし、社会的・法的経営環境が「大異変」している現在、上記の従来手法の旧態依然とした「惰性経営」で、今後本当に地域社会で「生き残り」繁栄出来るオンリーワンの魅力的な存在価値のある中小企業となれるのでしょうか・・・?

現在は「食の安心・安全」保障を経営担保する手法として、トレーサビリティや食品・食材表示で終始しています。しかし本当にこれで、社会的・法的に「品質・安全」保障責任要求を経営現場において、問題なく且つ問題予防的に果たして行けるのでしょうか?加えて、経営の生命線となっている「売上・利益」改善・向上に資するマーケティング・マネジメントとなるのでしょうか・・・?

この点で、全ての食材・食品の生産・製造・販売に係わる中小企業の経営者は、社運をかけて全社一体・一丸となった、「生き残り」繁栄の待った無しの「経営革新」戦略を系統だって、計画的に実行して行かなければなりません。そのもっともな理由とは下記の通りです。



  1. 現在、日本・中国・韓国において、繁栄している食材・食品関係の中小企業は、国際基準のHACCP認証を積極活用して、国内外での売上と利益を確実に伸ばしている。

  2. ダスキンの食品事故の場合、ダスキン社の経営者が率先して、適正に下請食品工場での食品衛生管理マネジメントを全社一丸となって指導・支援していたことを立証できたので、関連取引先からの営業保障以外の民事上の高額な損害賠償責任を法的に免責された。

  3. 但し、当該営業保障について、同社に対し損害を与えたとして、関係担当取締役に「善管注意義務」違反を根拠に、特定株主から株主代表訴訟を提訴され、約53億円4千万円の損害賠償金を容認する判決が、大阪高裁で言い渡されている。(上告中)

  4. 不二家の場合は現在、既に営業保障をしていた代理店舗側から、同社の杜撰な食品衛生管理体制による「債務不履行」(「品質・安全」保障体制による食品提供の法的不履行違反)の民事訴訟を提訴されている。

  5. 今後、経営者責任を一層追求する強行法規等の摘発・取締が強化されて行くので、食材・食品業界の大半を占める中小企業ほど、経営資源が少なく経営体力も弱いので、今後関係取引先との取引減や停止、そして地域消費者からの買え控え等によって、空前の経営不振・倒産を被る経営危機を迎える。正に経営の死活問題に至る中小企業受難の「大異変」時代となる。

  6. 上記と関連・連鎖して、関係取引先・監督官庁・消費者・マスコミは、今まで以上に食材・食品の表示並びにトレーサビリティの根拠となっている、生産・製造工場等での「食品衛生管理」マネジメント体制の実効性を重視することになる。

  7.  因みに、食材生産の元締めである農林水産省は、今後食品の安全性を確保するために、当該食品に関係した食材の原材料表示を義務付けるべく、JAS法改正を検討している。そうなれば、今まで以上に、原材料・食材段階での「品質・安全」保障体制の実効性が、継続的な取引条件として、又持続的な市場参加資格として関係中小企業に厳しく、問われることになる。

    そして、その影響として、現在アジア共通の食品の「品質・安全」保障基準の策定が準備され始めている。また、食材・食品の「品質・安全」保障重視の消費者及び監督官庁の法規制強化を反映して、現在コンビニやスーパー等の流通市場において、中国産食材・食品の売れ行きが減少している。

正に予測通りに、食材・食品関係の中小企業こそ、健康的で美味しい安全な「食材・食品衛生管理」マネジメントの基本である国際基準のHACCP等が市場・業界において、「生き残り」繁栄出来る、絶えざる「経営革新」戦略として、必要不可欠な「大異変」時代になっていると言うことです。