2007年11月28日水曜日

想定以上のHACCPブーム

今後、約4年前に想定していた以上のHACCPブームになりそうです。

一時期はトレーサビリティで終始した食品生産・販売問題解決法でしたが、今年に入って、中国食品の衛生問題と日本の中小企業の食品衛生問題と表示問題が重複して社会問題化、すなわち倫理・法令問題化することによって、堰を切ったように日本特有の中小企業が大半の食品業界横並び体質の偽装問題等が内部告発等で一気に暴露されてしまいました。正に青天の霹靂です。


さらに役者が揃ってきた


そして、追い討ちをかけるように、重い腰を上げて、関係監督官庁が一斉に食品生産・販売企業の立ち入り調査を開始しました。いずれ、関係監督官庁が統合化し効率よく統合摘発を開始するはずです。福田首相が力説していた「今後、行政は業界経営よりも国民生活を優先する」時代の幕開けとなります。

今までの日本での食品事故・経営事故の共通点は、経営規模に関係なく、食品衛生予防マネジメントのHACCPを中心にした、『「予測・戦略」・「実行・検証」・「改善・予防」』サイクルの戦略・予防法務に基づいた、経営「自己管理」マネジメントの仕組み経営になっていないことです。すなわち、個人飲食店並みの“税務会計”等に依存した、同族ワンマン「惰性経営」に甘んじていたことです。

そこで、ラーメンや明太子等よりも、「船場吉兆」食品・経営事故事件で有名になった福岡市では、吉田市長の肝いりで、同市内の食品業者1,500社と大規模店50箇所を、「偽装表示」問題について、11月20日から、一斉立ち入り調査し始めました。同市長は「市民の食の安全をしっかり守るために、強制力のある捜査に近い形で厳しく調査する」と豪語しています。今までと違って、食品・経営事故で中小企業の経営者が逮捕される時代になったことを反映した強気の発言です。確かに脱税でも中小企業の経営者が逮捕されることは、ほぼ皆無でした。

既に食品衛生予防マネジメントの国際基準HACCPでは、HACCP文書としての「食品の記述及び意図される使用方法」において、認証審査対象の食品・品目について、現状分析し、適法で食品衛生予防的表示方法を検討するようになっています。尚、ISO認証審査は事業所単位ですが、HACCP認証審査は、食品・品目単位となっています。食品表示等の関係からそうなっている訳です。

それから、食材購入から生産過程、そして流通・販売まで一貫して食品衛生予防マネジメントが経営「自己管理」マネジメントとして日々実践出来ていて、始めて消費者や取引先に対して、自己が提供する食品の「品質・安全」保障表示について、自信を持って実行できる訳です。これこそ真の企業ブランド戦略であり、本物の「品質・安全」保障経営なのです。

以上のことから、約4年前に当初想定した以上に中小食品生産・販売企業の多い業界において、後伸ばししてきた食品衛生・表示等「品質・安全」保障問題改善対策として、本命のHACCPマネジメントのブームがやっと到来したと言うことです。それも本格的な消費者本位の中小企業専用の簡易「3S-HACCP」(当協会第三者認証)時代が到来したと言うことです。

2007年11月9日金曜日

食品経営事故・事件の体質

あらわになった体質


3~4年前から、当協会では今日の未曾有の一連の食品経営事故・事件を予見し、デパート・スーパーや中小食品製造・販売企業の経営者・経営幹部に対し、執拗に食品衛生管理・予防戦略マネジメントのHACCPの必要性について力説してきました。

しかし、当時から伝統的に価格競争中心の経営に終始していた「惰性経営」等の弊害による、食材・食品の本物「品質・安全」保障を軽視し、犠牲にする業界の横並びの根深い慢性的偽装・隠蔽体質・体制が、本物「品質・安全」保障ニーズに沿った、一連の内部告発等によって、やっと今になって暴露されてしまいました。

これら一連の食品経営事故・事件の本質は、すなわち問題の根源は、業界の伝統的な横並び偽装・隠蔽体質・体制とその悪しき慣行に追従し、甘んじてきた中小食品製造・販売企業の経営者の安易な惰性的経営姿勢です。この古き経営体質・体制を根本的に是正するには、IT統合「法務会計」実務(統合法務・IT・会計・マーケティング・マネジメントの統合活用)を土台とした、HACCPマネジメント・システムしかありません。このオンリーワンの正当な主張こそ、当協会の存在理由であり、オンリーワンの存在価値となってきました。



IT統合「法務会計」実務の指導・支援理念の一部となっている「善悪の法則・原則」から、現在進行中の一連の老舗中小食品企業に係わる食品経営事故・事件において言えることは、消費者が加工食品の「品質・安全」保障を唯一確認で出来る食品表示について、偽装・隠蔽が継続的に根深く実行されて来たことの背景には、もっと大切な食品衛生予防管理マネジメントについては、隠れた重大な問題が潜在している恐れが十分にあると言うことです。

今後この本質的な問題が、より疑心暗鬼となっている敏感な消費者と消費者に直接関係している流通業界・業者やマスコミそして監督官庁から今まで以上に問題視されて行きます。その結果今後、正に関係中小企業・経営の死活問題となって行きます。今までの旧態依然とした“税務会計”等に依存してきた経営のツケです。その影響で、福岡では老舗デパートの岩田屋では、吉兆食品偽装問題を是正すべく、食品売り場(デパ地下)の食品衛生管理の強化を始めました。


見落とされがちな、HACCP本来の価値


現在問題となっている「食品表示」問題は、食品の「品質・安全」保障の入口・出口問題です。そして更に本質的に重要な問題である、その中間問題こそ食材・食品製造プロセス問題であり、正にHACCPそのものなのです。因みに、「食品表示」問題となっている、「消費期限」は、購入者が安心して美味しく食べられる期限を示すもので、製造日から約5日間を目安としており、他方「賞味期限」は、製造日から品質が劣化しない「品質・安全」期限を示すものです。

従って、厚生労働省管轄の食品衛生法では、1995年から全ての食品に製造日の表示を義務付けしていません。しかし、農林水産省管轄のJAS法(農林物質の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)では、「消費期限」又は「賞味期限」のどちらかを企業が選択して、消費者に表示すれば良いことになっています。

しかし現在、両省のガイドラインでは、「消費期限」及び「賞味期限」につて、微生物(菌数)試験や複数の人に試食等による官能検査による科学的・客観的なデータに基づいた知見より短く算出することを奨励しています。正に科学的・客観的データ管理を重視するHACCPそのものです。

ですから、現在問題となっている「食の安全・安心」判断材料としての「消費期限」と「賞味期限」は、当然のこととして、全従業員の食品衛生モラルと当該食材の使用過程並びに食品の製造過程における食品衛生管理マネジメントに左右され依存することになります。現場職人の長年の勘等に依存した食品衛生管理であれば、不安定であり、菌数管理等がいい加減となって行きますので、大切な「消費期限」や「賞味期限」の信頼性のある「品質・安全」保障の判断材料とはなりません。今後正に偽装表示の「消費期限」や「賞味期限」と比べて致命的な本命の本質的な経営事故・事件問題となって行きます。

それから、偽装表示は、直接的には食品衛生法・JAS法違反であり、且つ「不当表示」問題でもあるので、景品表示法・不正競争防止法違反ともなります。そして悪質な偽装表示問題であれば、刑法の詐欺罪が適用されます。更に追い討ちをかけるように、民事的経営管理責任が当該経営者に対し情け容赦無く追求されます。

それで、食品・経営事故は、本当に恐ろしい倫理・法的・社会的な本質的経営者責任問題を含んでいますので、経営資源と経営体力の弱い中小食品企業ほど、コンプライアンスなIT「自己管理」マネジメントを重視している、人間中心の進歩的IT統合「法務会計」実務を土台とした、オンリーワンの消費者本位・中小企業専用の簡易「3S-HACCP」(第三者の公正中立なNPO法人審査・認証)が必要不可欠な、経営環境時代になったと言うことです。

折りしも、食品衛生・表示問題の絶えない全国和菓子協会では、横並びに業界の古いマイナス・イメージを払拭すべく、全国の加盟和菓子店等の約3千社へ、異例の法令遵守を徹底させる通知を送達しました。この通知において、上記の監督官庁の定めたガイドラインに沿って、HACCP科学的な根拠に基づいた期限表示に改め、併せて社内規則の直しを要請しています。正にHACCPマネジメントの必要性を認めた発言です。今後この発言が中小食品製造・販売企業に大きな影響を与えて行くことでしょう。