2008年4月16日水曜日

信頼性向上自主行動計画のポイント<後半>

■基本原則4
「適切な衛生管理・品質管理のための体制整備」

 消費者に安全で信頼される食品を提供するために、製造する食品の安全性に影響する課題を特定した上で、適切なマニュアルや管理基準の整備、施設等の整備が必要です。

 そのためにも、食品衛生法等の関係法令を正確に理解し、適切な衛生・品質管理体制を構築し、適切に対応できる人材を育成・確保する必要があります。

 また可能な限り定期的な内部監査や外部監査(第三者による監査)を実施して法令やマニュアル、基準等が守られているかどうかをチェックし、原材料、食品、作業工程、施設等を点検することにより適切に体制が整備・機能しているかを検証することが必要です。

 そして、これらの仕組みを維持し、課題を設計や製造段階等にフィードバックさせる体制を構築する必要があります。このことは、国内での製造。海外からの輸入にかかわらず大事なことです。



--【取組方針】--
消費者に安全で信頼される食品を提供するために、適切な衛生・品質管理を行う体制を整備し、それが形骸化しないよう改善を行っていきます。


■基本原則5
「情報の収集・伝達・開示等の取組」

 消費者や取引先などから入手する情報の中には、企業によって有益な情報があります。また、企業が行う製品の表示や発行する宣伝物は、消費者への必要な情報の発信です。

 そうしたことへの認識を高め、常日頃から情報の双方向のコミュニケーションを行うことが必要です。

 特に消費者の苦情や提言など経営やリスクに関する情報は、起業として速やかに判断できるよう、経営者や責任ある担当者に報告がなされるとともに、その内容を検討し、経営や品質改善等に生かすことが出来るよう、必要な体制を構築することが大切です。



--【取組方針】--
消費者などの信頼や満足度を確保するため、常に誠実で透明性の高い双方向のコミュニケーションを行います。また、そのために必要な情報の収集・管理を行います。



以上が今後各食品業界で構築すべき食材・食品の製造・流通・販売等に関する「品質・安全」保障を維持・確保・改善等するための5つの基本原則です。すなわち、これらは食品衛生一般原則とISO22000又は既に当協会で実施している「3S-HACCP」認証そのものなのです。

信頼性向上自主行動計画のポイント<前半>

食材や食品に対する消費者による「品質・安全」要求度は、今回の中国輸入冷凍食品に係わる一連の問題等で、一段とエスカレートしました。

そこで、日本の農林水産省は今年3月末に、食品業界:食品製造事業者・食品輸入事業者、食品製造小売事業者、外食事業者、中食事業者、生鮮食品卸売事業者、食品小売事業者向けの『信頼性向上「自主行動計画」策定の手引き』(5つの基本原則等)を公表しました。その主な内容は下記の通りです。

■基本原則1
「消費者基点の明確化」


 消費者に信頼していたただき、安心して食品を買い続けていただくことが、企業が成長し、存続していくための必須条件です。

 なぜなら、信頼は日々の積み重ねであるため、一度消費者の信頼を失ってしまうと、信頼の回復は極めて困難で、企業が成長し、存続し続けることも難しくなるからです。

 消費者の信頼を得るためには、常に消費者を基点(消費者の視点から考えること)として、商品開発、原材料の仕入れ、製造、保管、表示、流通、販売などについて検証し、適切に対応して、消費者に安心を与え、信頼を確保することが大切です。



--【取組方針】--消費者の基点として、消費者に対して安全で信頼される食品を提供することを基本方針とします。


■基本原則2
「コンプライアンス意識の確立」


 法令遵守や社会環境の変化に適切に対応していくことが事業活動を行っていく上で大前提となります。

 なぜなら、法令を逸脱したり、社会環境の変化に対応できなかったりすることは、企業が社会的存在として成り立たないからです。

 法令遵守を含め、企業を取り巻く社会環境の変化を的確に把握し、消費者や取引先などに対し、社会的責任を果たしていくための組織体制の構築など取組を強化し、活動することが強く求められています。



--【取組方針】--取り巻く社会環境の変化に適切に対応し、法令や条例、公正なルールや社会規範を遵守し、社会倫理に沿った企業活動を進めていきます。


■基本原則3
「適切な衛生管理・品質管理の基本」


 不衛生な作業場で食品を製造し販売すると、食中毒の発生や異物混入の原因になるなど、消費者の期待にそぐわない食品を提供することになります。

 つまり、適切な衛生・品質管理を怠ると消費者の信用を無くすことにつながります。

 消費者への安全で信頼される食品の提供は、自社のファンを育てる積極的な投資としてとらえ、それを続けられるようでなければなりません。

 衛生的な製造・流通・販売環境を整え、商品の開発から製造・流通・販売に至るまでの全ての過程において、経験や勘による対応にとどまらない科学的な取組を行い、衛生・品質管理を行っていくことが不可欠です。このことは、国内での製造、海外からの輸入にかかわらず大事なことです。



--【取組方針】--人の生命と健康の維持、楽しみに大きく関わる仕事に携わっているという自覚を持ち、安全で信頼される食品を消費者に提供するために、適切な衛生・品質管理をしていきます。



...<後半へ続く>...