2009年1月16日金曜日

HACCPの基礎知識:その6「AW値」


これまでの基礎知識(1)から(5)にかけて、HACCPに不可欠な専門用語などを学習してきました。(1)ではD値の意味について述べましたが、時として「ID値」として表記される場合もあるようです。

今回は、病原細菌とその制御に関するデータでよく使用される「AW」という表示(数値)について、取り上げたいと思います。


AWとは何か

食品の劣化を防止するには、劣化が起きる条件をコントロールする必要があります。

劣化する要素としては、水・微生物・化学変化・物理変化・酵素反応(酵化)があり、その中でも食品原料に多く含まれている水をコントロールする事が、食品の品質を劣化させない重要な要素となります。(有害微生物の増殖を抑制するためにも、水分コントロールは必要不可欠です)

その際使用されているのが、他でもない「AW」(水分活性)なのです。

「AW」の意味については、純粋の自由水100%の場合、水分活性AW=1.000となります。ですので、水分活性が1に近いほど自由水(純粋)を多く含んでいるという意味になります。一方、全く水分の無いものは、AW=0となります。同じ水分含量でも「AW」値は食品によって異なります。

ちなみに、AW>0.9は、保存性(貯蔵性)が劣る事になり、0.85>AW>0.65は、中間水分食品(ジャム・佃煮・サラミソーセージ等)が該当し、長期にわたり腐敗しにくい状況となります。他方、0.5>AWは、水分が少ないため乾燥食品が該当します。

水分活性値が高いほど、腐敗や劣化の進行スピードが早いという訳です。
ちなみに、食中毒の約9割を占めている微生物(細菌等)生育とAWとの関係については、下記の通りです。

[各微生物や細菌が繁殖に必要とする最低限のAW値]
  • 普通細菌        0.90
  • 普通酵母        0.88
  • 普通真菌(カビ)    0.80
  • ボツリヌス菌      0.94
  • サルモネラ菌      0.93
  • ブドウ球菌(嫌気性) 0.90
  • ブドウ球菌(好気性) 0.85

AW値を上記の数値以下にできれば、菌の繁殖を抑えることが可能になります。
しかし、単純に水分をなくしてしまえば、食感や美味しさ等が損なわれてゆきますので、バランスが大切になってくるわけです。

また、加熱工程が無く水分をたくさん含んだ、生の食品の製造については、低温保持・PH・水分活性(AW)のコントロールが、重要なCCP(重要管理点)となります。