2007年4月25日水曜日

GAP(適正農業規範)

GAPの注目度


日本でも「適正農業規範」(GAP)が、やっと注目されてきました。マーケットにおいて「食の安全・安心」ニーズが高まって行くに従い、食の基本である農業そして農産物から、HACCP概念を導入して行くことが当然の成り行きだからです。

2年前に中国農産物の一大産地となっている山東省において、山東省等の行政(人民政府)のご依頼で、中国産農産物のGAP・HACCP・特別栽培農産物証明等について、地元行政担当者・地元農業生産者・地元農産物加工製造業者に対し特別に研修講演しました。この様子は現地のテレビで大々的に放映されました。日本より中国は農産物を積極的に輸出していますので、当時から官民共に、日本よりGAPとHACCPに対する意気込みを肌で感じ取ることが出来ました。

しかし2年前当時から、危険なのは中国産農産物のみならず、日本産農産物もそうではないか・・・と専門家筋から警鐘が鳴らされていました。そこで現在、日本では農業・農産物に関する国際基準の適正農業規範(GAP)が注目され始めた訳です。

このGAPはコーデックス委員会で策定されている農業・農産物の「衛生管理」マネジメントの国際基準です。

(詳しくは、当協会の「普及員」にお聞き下さい。そして、来る'07年5月15日(火)午後11時~12時に、マリンメッセ福岡で行われる展示会で、『消費者の傾向は安さから「品質・安全性」へ』のセミナーを行ないますので、可能なら是非ご出席下さい。)

尚、当協会では、GAP・HACCP・特別栽培農産物について、中小企業等専用の第三者認証並びに第三者証明が可能となっています。現在指導・支援中です。農業から食品製造・販売そして飲食調理等まで一貫して第三者証明・認証出来るのは、日本では当協会のみです。


規制強化の流れ


今後地域社会において大きなマーケットとなって行く、団塊の世代を中心にした「シルバー・マーケット」では、「品質・安全」保障の「本物志向」が重視されますので、早速監督官庁の厚生労働省は、このマーケットで需要が拡大して行く「健康食品」(含健康サプリメント)について、問題が多くなって来ており、ほぼ野放し状態だったので、懸案の「品質・安全」保障の制度について検討を始めました。又必要に応じて食品衛生法を随時改正出来るようにすべく、その検討も始めました。正に食品関係は規制強化です。

今後健康食品については、予防医学・介護の観点から、成長・拡大して行く有望なマーケット(約3兆円市場)です。当然、健康食品の食品衛生・食品衛生予防HACCPに関するマーケットも拡大して行きます。その市場規模予測は、約2兆円市場と予測されています。当然今後、農業・食品製造・食品流通等を一貫したHACCPリンクを前提としているISO22000認証が本格普及して行くことにもなります。

しかし、現在バイオ燃料の世界的な需要拡大によって、食料農産物の確保が厳しく、且つ値段が高騰してきており、今後日本の農業と食材等にどのような影響を与えて行くのか油断出来ない状況です。ですから、今後「安全・安心」の「地産地消」等による自給率アップが国策及び農業を含む地方活性策となって行きます。従って、今後更に食品業界及び飲食店業界では、独自に農業に参入する機運が高まって行くはずです。この流れは、日本農業の再生と活性化対策そして環境問題改善策ともなって行きます。しかし現在、農業人口が減少傾向にありますので、この分野でも何れ外国人が必要となって行きます。

2007年4月5日木曜日

食品業界「営業・経営」動向

マネジメント手法の見直しが必要


現在進行中の少子高齢化・ITボーダレス化・景気回復安定化・法化社会化・食育健康志向化・品質安全重視傾向・生活格差等を総合的に勘案すると、全ての企業が規模・業種に関係なく、現在製造又は生産し販売している自社の製品・商品・サービスの内容及びその営業・経営マネジメントについて大至急革新的に見直す必要があります。

なぜなら、従来の“税務会計”依存の姑息な現状維持「営業・経営」体質・体制では、新たなオンリーワンの「経営革新」に挑戦できないし、現在進行中している前代未聞の未曾有の「異変時代」ニーズに対応できないばかりか、そのニーズ・チャンスをオンリーワン的に先取り出来ないために、変化不適応企業として、一気に経営不振となり経営倒産を刈り取ることになる恐れがあるからです。

そこで、地域消費者ニーズに敏感な外食・総采・生鮮食品等の食業界の最新動向について、お知らせします。

今後の皆様の業務改善と経営革新にお役に立てば幸いです。尚、地域格差や地域独特の人口構成や食事情等がありますので、それらを加味して活用されることをお奨めします。勿論、オンリーワンの「営業・経営」革新戦略を犠牲にして、節操と一貫したポリシーの無い、その場しのぎの対症療法に終始しないことです。


  1. 現在、外食チェーン各社では、既存の高級メニューを格安で提供する動きが相次いでいる。しかし、従来の“価格破壊”路線効果に疑問が生じている。


  2. 都心部において、既存高級メニューが約半額価格で提供され、若者層を中心に支持され始めている。主にしゃぶしゃぶ・豚カツ・カニ料理・うなぎ料理・天丼等が善戦している。ファミリーレストランの老舗・ロイヤルやピエトロでも、時代ニーズに沿って、既存メニューを一新するような営業・経営革新を断行中。

    他方、中華そば等で有名な幸楽苑では、人気主流アイテムの中華そばのみを一気に390円から290円に値下げした所、その値下げ効果で一時的に来店客数と売上が増加したが、直ぐに横ばいとなって、むしろ赤字経営へと転落した。今までの価格破壊路線の効果性に疑問が生じる結果となった。

    因みに、繁盛居酒屋では、食べ物と飲み物を合わせて30以上アイテムが主流となっており、如何に売上と利益に貢献出来るメイン・オンリーワン定番(粗利益70%前後)メニュー・金庫版(高粗利益70%以上)メニューと看板(粗利益60%前後)メニューを継続的に開発して行くかが、持続的繁盛経営の決め手となっている。

  3. 野菜中心・健康志向のバランスの良い手作り家庭料理への関心が、主婦層を中心に、食育等の影響で、現在高まっている。


  4. しかし、働く主婦が大半なので、現実には健康な手作り家庭料理が出来ないので、今後食育(健康で安全な食生活の提案)を兼ねた健康で安全な総采ニーズが全国各地でビジネス化して行く。現在、福岡でもそのような総菜店が繁盛している。今後当然、経済的で効率的な“特別栽培”証明による低農薬・無農薬の農産物が主流となって行く。(当協会で第三者証明中)

  5. 99円の日常生鮮食品に拘って急成長した「99プラス」(ショップ99)では、最近の来店女性客のニーズが、ボリュームや価格より、健康や安全を重視している変化に気づき、一部商品の内容を変えた。


  6. 例えば、1個99円のキャベツを半個99円(倍の価格)で販売した所、売れ行きが好調なので、一気に「価格重視」から「品質重視」路線(品揃え)へ変更し、その一貫として、保存料や合成着色料を一切使用しない弁当や総采へと品揃えしている。現在進行中の食育効果と健康志向そして景気回復安定と人材難等によって、現在安売が主流の昼食弁当業界にも、今後確実に異変が生じることになる。

    この点で、NPO法人アジアHACCP協会が現在実施している割安な特別栽培証明と簡易「3S-HACCP」(商標登録済HACCPマーク使用可)認証を統合活用すれば、経済性のある効率的な食の「品質・安全」保障対策が可能となる。

    しかし、ショップ99では、一部商品の価格帯の幅は広くするが、基本的には99円にこだわってゆく。つまり99円価格の範囲で、「品質・安全」保障(顧客ニーズ)の営業・経営マネジメントを強化して行くことにより、現在の景気回復の恩恵を受けるように、売上と利益を改善・向上している。

  7. 千葉の中堅コンビニエンス・ストアでは、同店のオンリーワンの売りとなっていた焼きたてパンの調理工程を簡素化して品質の安定につなげた創意工夫を行い、加えて人件費や食材のコストダウンを行い、且つ大幅な商品構成の見直しを断行した。


  8. 一部商品の値上げを行った、この「経営革新」の結果、売上と利益が好転し、今後積極的な出店を目指している。福岡でのスーパーマーケットの最新消費者動向調査でも、従来の価格と近所が来店頻度の決定要因となっていましたが、品質と安全が重要な来店頻度の決定要因へと変わって来ていることが明らかとなっていました。

    おにぎり革命で躍進したあのコンビニ大手のローソンでも、時代・地域ニーズに沿って、今までの成功を否定するような思い切った営業・経営革新に着手している。現状維持では、新興勢力のコンビニに食われ、消費者から見捨てられと言う社長の危機感がそうさせている。

  9. カフェ大手のスターバックスコーヒーでは、主力商品について1割~2割値上げしている。


  10. 主な値上げ理由は、現在値上げされているコーヒー原料費と、今後人材不足によって生じるパート等の人件費で、今後食業界では慢性的な人手不足等も手伝って、値上げ出来るオンリーワンの付加価値のある「良い店」と、そうでないために値上げ出来ない「良く無い店」との格差が拡大すると予測される。まさに食業界でも、「善悪の法則」(“善い経営”は更に良くなり、“悪い経営”は更に悪くなる)が証明されることになる。

以上のことから、今後食業界でも、「品質・安全」保障時代ニーズをオンリーワン的に先取出来る「経営革新」が不可欠となって行きます。ですので、今後食業界では大なり小なりに、間違い無く、予測・戦略・検証・改善・予防の思考・行動サイクルで関係法務・会計・マネジメントを統合活用するIT統合「法務会計」そしてISOやHACCPがセットで必要不可欠になって行くと言うことです。