2007年8月24日金曜日

「白い恋人」食品事故

ダスキン・不二家・ミートホープに加えて、ダメ押し的に今回の「白い恋人」の食品事件、すなわち石屋製菓「経営事故」事件が発覚しました。この事件も、或る日突然の「内部告発」メールで、青天の霹靂のごとく始まりました。正に一夜にして「黒い恋人」になった次第です。


防げたはずのミス


今回の事件も、現場任せの時流を無視した「惰性経営」等による典型的な「経営事故」事件でした。今までの一連の「食品事故」事件に無頓着な経営体質・体制を見事に露呈した、今後中小企業において、引き続き起こり得る「経営事故」事件です。ですので、政治・経済は二流で、経営(経営者)は三流と言う揶揄が笑えない状況なのです。

HACCP的には、人間が一番リスクのある存在で、(1)まず食中毒の保菌者であり感染者です。そして(2)機械等にはないモラルハザードやうっかりミスを起こしてしまいます。ですので、これらの危害が甚大な被害とならないよう
に、予防コントロールするには、やはり従業員の継続的な教育や「食品事故」予防の人間を中心としたマネジメント・システムが必要不可欠なのです。

そして、そのシステムの油断の無いPDCAが不可欠です。そのためには、当協会のような消費者保護視点の公正中立な第三者の「3S-HACCP」(食品製造・販売の品質・安全保障)認証と継続的な緊張感のある外部チェック体制が必要不可欠です。

しかしながら、依然として日本では、大中食品製造・販売企業を中心に、設備等中心の固定的な現場職人任せの惰性的な食品衛生体制になっていることです。そして、食品衛生予防体制「HACCPマネジメント」システムの本質と必要性が、依然として、経営トップ並びに現場責任者等において、十分に良く理解されていないことです。

昨年から今年にかけて堰を切ったように生じている、一連の氷山に一角に過ぎない、「食品事故」事件が、肝心な「経営マネジメン」システムに隠れた問題と深く関係していることに、いつ経営トップは気が付くのでしょうか?
しかし、中小企業の場合には、「食品事故」で気がついた時には、手遅れとなっていますが・・・。

何れにしても、今回の「食品事故」事件も、一旦は社長が事件関与を否定しましたが、例外なく社長も含む会社ぐるみの消費者を欺く悪質な事件となるでしょう。またも、食品製造・販売企業の経営者としての失態とプロ経営者の資格のなさを露呈した「経営事故」事件でした。さらに唖然とさせられるのは、このような経営者がミートホープ社長同様に国等から表彰されて、地域社会を代表し、地域社会での横並びの次期経営者の育成等にあたっているということです。

そして、更に消費者へのマイナス印象と悪感情を与えたのは、事後(事故)対応の顧問弁護士らしき人物が今になって指図し、消費者に対し正直に申し開きすべき社長自身が胡散臭く、他人事のように消費者向けの記者会見を行っていたことです。消費者にしてみれば、わざわざ顧問弁護士が同席しなければいけないほど、何か社長が偽装し隠蔽しているに違いないと思わざるを得ません。

既に内部告発で会社の一連の不祥事は暴露され、加えて顧問弁護士等では今までの隠蔽体制が一向に改善されていないのに、今になってあえて顧問弁護等を活用して公然と偽装隠蔽体質を隠そうとしても、そのような稚拙な欠格(欠陥)経営者のワンマン姿勢・体質を賢い消費者は見抜いています。小手先の偽装工作で誤魔化すことはできません。これではむしろ逆効果です。

そしてマスコミ報道や消費者のITくちコミ等による風評被害を更に拡大させるだけです。今回の対応の悪さが、同社の長年築いてきた信用を一気に失墜させ、且つ危機意識と危機管理の希薄な社長は、辞任することを公約する羽目になり、そうなりました。何れにしても、今後HACCPマネジメントへの取り組み如何が、中小食品製造・販売企業の命運、すなわち生死を鮮明にして行くことになります。昨年から今年の一連の「食品事故」(経営事故)事件によって、その危機認識が当該業界に漸く浸透し始めたようです。

2007年8月16日木曜日

不二家・ミートホープ事件の学習効果

これまで、不二家事件・ミートホープ事件、加えて中国の一連の信じがたい「食品事故」事件で日本の消費者は今まで以上に、「食の品質・安全」について生きた教訓を学習しています。それでその効果として、食材・食品製造業界そして食材・食品販売業界において、現在進取の気性のある中小企業が、“先手必勝”戦略として、競って真剣に「食の品質・安全」予防・戦略対策を迷わずに先行投資しています。

特に日本の食料基地となっています九州でその傾向は色濃く表れています。例えば、福岡市の地場製粉製造企業の経営幹部は「今のままで十分安全じゃないか、と言っていたら負け」と断言し、1億円の異物混入防止の設備投資を行ない、地場ラーメン店等の専門業者等へ積極的な営業攻勢をかけて、新規顧客として50件を開拓確保出来ました。正にリスク・マネジメント以上のマーケティング戦略です。

このように、4年前の予想通り今後ますます、消費者の食品に関する「品質・安全」保障要求が強くなって行きます。それで、従来の現状維持の経営に甘んじていると、以下のような流れになってしまうでしょう。




・突然の「食品事故」によって、または従業員の内部告発によって、経営不振に。
                  ↓
・HACCP認証を取得した同業他社から取引先を奪われる。




上記に加え、生協や大手スーパー等から継続取引条件として、HACCPマネジメント認証を要求され、1年以内に応じることができずに、即取引停止となるケースも考えられます。

先行投資を惜しむ優柔不断な現状維持「惰性経営」は、今後確実に大敗し、消滅して行きます。本当に食の「品質・安全」保障は、食材・食品製造・販売業界において、「生き残り」繁栄の「経営革新」戦略課題なのです。因みに、日本の食料基地の九州では、食品製造業の出荷割合は、九州製造業全体の約2割で、九州のリーディング基幹産業となっていますので、今後業界での「生き残り」繁栄の「経営革新」戦略として、当協会の「3S-HACCP」(食品の「品質・安全」保障マネジメント・システム)認証活用が、必要不可欠となって行きます。


HACCPマネジメントが必要なその他の場所


それから、今後医療法人の兼業として有料老人ホーム等が可能となって行きます。当然、高齢者は食中毒等に感染しやすいので、病院と併せて老人ホームに、今後HACCPマネジメントが不可欠となって行きます。加えて保育所・幼稚園においても、HACCPマネジメントが不可欠となって行きます。

なぜなら、以前と比べて、幼児や小児は高齢者と一緒で、食中毒等に感染しやすい健康状態にあるからです。因みに、今年に入って、O-157等による食中毒が急増しているからです。今後この傾向は更に増加すると予測しています。

例えば、大阪で8月6日に、無認可保育所でゼロ歳から5歳までの園児5人が、O-157に感染し、うち3歳の女児が死亡しました。先に北九州で同じ無許可保育所の園児が送迎用の車中に置き去りされて熱中症で死亡した事件のように、幼児や小児の場合は遺失利益が高額なので、まずその民事損害賠償と刑事責任で行き成り経営倒産します。当然、中小企業の経営者は自己破産です。あのミートホープ社の場合がそうでした。正に油断大敵です。

ですので最悪の場合、被害者・遺族家族は泣き寝入り状態となります。従って、利用者の予防・防衛手段として、その経営が「品質・安全」保障マネジメントになっているのか確認する必要があります。それから、万が一の場合に、被害補償が出来るように、経営が黒字の健全状態にあるのか・・・も確認する必要があります。因みに、改正医療法等で、全ての医療法人は、平成19年4月以降から、医療業務と会計・決算について、監査を受けて、当該決算資料等を一般公開することになっています。患者やその家族は入院する前に、医療経営状況を調べて相応しい病院を選択する時代になって行きます。

ですので、現在老人ホーム・保育所・幼稚園等へ給食サービスを行っている中小企業においても、「食品事故」予防法務対策そして「食の品質・安全」保障対策、更に自社経営の安全予防装置として、当協会の「3S-HACCP」認証活用が必要不可欠となって行きます。そうすることが、賢い消費者や良い関係取引先等から持続して選択される、企業経営戦略となるからです。因みに、「3S-HACCP」認証は、消費者保護の立場に立って、「食の品質・安全」保障マネジメント体制及び健全経営マネジメント体制について審査しています。